裏金
6月末、大手ゼネコン鹿島の東北支店元営業部長による所得税脱税がニュースになりました。
個人所得2億2千万円を申告せず、所得税約8,300万円を脱税したそうです。一介のサラリーマンにしては多額の脱税ですが、それが東日本大震災の復興事業に絡む裏金の脱税だったので注目されました。
発端となったのは福島県の原発被災建物の解体工事で、環境省が270億円で共同企業体(JV)に発注しました。JVはその工事を更に下請けに発注していました。
JVは工事受注のための単なる受皿で実際の仕事は下請け任せだったのかもしれません。 もしかして、丸投げ工事? くだんの元営業部長はJVの所長を 兼ね、下請けに工事発注の便宜を図った見返りに多額の裏金を受け取っていたそうです。
復興事業という錦の御旗の下に群がったハゲタカが、復興事業を食いものにしていた事実を裏づけているようで不快です。
原発被災建物の解体は、当時、受注に二の足を踏む業者も多かったかもしれませんが、環境省の工事発注は甘くなかったのでしょうか? 結果的には、裏金の温床になりました。
工事を受注したのはJVですが、鹿島の東北支店営業部長がJVの所長になったということは、鹿島主導のJVだったのでしょう。鹿島と言えば、ゼネコンの中でもトップクラスですが、トカゲのシッポ切りのように社員を懲戒解雇すれば一件落着なのでしょうか? 社員のコンプライアンス順守について責任があるはずです。会社は当該社員による過剰接待があったことを認めているようですが、普段から接待漬けは有名だったはずで、会社はこれまで目をつぶって来たのではないでしょうか?
また裏金を捻出して支払ったのは、三重にある一次下請けだそうですが、2億円近い裏金を支払ったのはその会社にとってもオイシイ仕事だった証しです。持ちつ持たれつ、もたれ合いです。
東日本大震災の復興事業ではかつてのバブルの時のように、一部の業界では復興バブルに沸いたのでしょう。他人の不幸や苦境は、ハゲタカたちの大好物です。復興予算のバラ撒きは、どん欲なハゲタカたちの恰好の餌食になりました。
今回の復興では、震災の直後から復興のために一生懸命汗を流し、復興に協力したたくさんのボランティアの人たちが居ました。そんな善意の塊のようなボランティアの人たちや被災者の人たちからすれば、今回の裏金事件は裏切られたようでやりきれない思いがするに違いありません。 ハゲタカたちは、いつでも大空高く旋回しながら、次の餌食を狙っていることでしょう。