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本当の中小企業 - 税理士法人水垣会計パートナーズ|東京都足立区・葛飾区の会計・税務事務所

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今月のコラム

本当の中小企業

カテゴリ: 今月のコラム 作成日:2021年03月24日(水)

 

【問題】

     2020年16社.2019年18社.2018年9社.

     これは何の数でしょうか?

【答え】

  資本金1億円以下に減資した上場会社の数!

 

 

 今年に入ってからも、旅行業界最大手のJTB、居酒屋チェーン『はなの舞』のチムニー等が資本金1億円以下に減資すると発表しました。上場会社を含めて、いわゆる大会社の減資が続きます。経営者の夢は色々ありますが、一般的な夢の一つはあすなろ(翌檜)のように、頑張って成功し、いつの日か上場会社の仲間入りを果たしたいというものではないでしょうか? それをモチベーションに頑張っている経営者が多いのではないかと思います。

 ところが、近年、上場会社等の大会社では早く中小企業の仲間入りをしたいと方針転換したかのようです。皆が皆、方針転換した訳ではありませんが、主としてコロナ禍等によって経営不振に苦しむ大会社にとっては、減資がなりふり構わぬ企業防衛策の一つとして、利用されています。何故なら、現在の税法では中小企業になることによって、税制上の優遇措置を受けられるというメリットがあるからです。たとえ、今は大赤字でも、今のうちに中小企業になっておけば、外形標準課税の対象外になるし、将来黒字転化した時には更に大きな節税メリットが期待できます。

 中小企業になるためには、減資して資本金を1億円以下にするだけであり、本当に中小企業レベルまで規模等を縮小する必要などありません。従業員が何千人いようが、売上が何百億あろうが、総資産がどれほどあろうが、資本金1億円以下というだけで税制上は中小企業の扱いになります(但し、平成31年4月以降は、適用除外事業者の改正あり)。中小企業になったJTBとあまたある町場の中小企業とを比べれば、知名度も実質的な事業規模も何から何まで圧倒的な差がありますが、税制上は同じ中小企業に分類されます。

 かつて、シャープが経営不振にあえいでいた時、窮余の策として資本金1億円以下に減資しようとしました。しかし、その時は、シャープは税制を逆手にとって悪用しようとしているのでけしからんと集中砲火を浴びました。結局、減資を断念した経緯があります。同じ事をやろうとしただけなのに、シャープはバッシング、JTBはノー・バッシング。何が違うのでしょうか? 経営不振の理由がコロナ禍だからなのか、減資が珍しくなくなったからなのか、その理由は分かりません。かわいそうにシャープは貧乏くじを引いてしまったようです。

 大会社の間では、経営が苦しくなったらその打開策の一つとして減資して、駆け込み寺のように中小企業を隠れ蓑に駆け込むことがこれからも一般的になるのかもしれません。それが、税制の不公平感を増幅することになりかねないことを危惧します。そうならないためには、苦し紛れに中小企業のふりをする大企業と本当の中小企業(正真正銘の中小企業?)とを区分するための税制上の再定義が必要になることでしょう。大企業を縁の下で支え、多くの雇用を守る中小企業の育成は、経済の活性化のためには必要であり、そのための税制上の措置も不可欠だからです。

頑張れ、本当の中小企業!

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